「仏壇の北向きは良くないって本当!?」
お家に置いてある仏壇で「北向きは良くない」と聞いたことのある方は多いのではないでしょうか。
そこで、今まで置いておいた仏壇や、新しく購入した仏壇などの置き場所を「変えた方が良いのかな?」と悩んだりしてしまいますよね。
かといいつつも、ある程度のスペースを確保しないと仏壇を置く事はできませんし、マンションなどでは置く向きも限られてしまいます。
そこで
仏壇の北向きが良くないって本当なの?
北向きがだめな理由はあるの?
置き場所がない時はどうすればいいの?
と頭を悩ませる方は多いのではないでしょうか。
北向きが良くなかったとしても、じゃあ一体どの方向だったらいいの?とも疑問に感じてしまいますよね。
という事で今回は仏壇の北向きは良くないのか、正しい仏壇の置き場所についてなどご紹介させて頂きます。
仏壇の配置について悩んでいる方はぜひ参考にしてみて下さいね。
仏壇の北向きは良くないって本当?その理由は?
それではまず仏壇の北向きは良くないのか、について解説をさせて頂きます。
今まで北向きだった、という方やこれから置く場所が北向きだ、という方は参考にしてみて下さいね。
日当たりや風通しが良ければ北向きに置いても問題ありませんよ!
まず、確かにかつての日本では「仏壇を北向きに置く事はよくない」とされていました。
それはなぜかというと、昔の住宅では南側に大きな窓を取り、そして日差しを確保するという構造があったからなんですね。
そこで北向きに仏壇を置くという事はイコール、南側に仏壇を置くという事になってしまいます。
ですが、南側に仏壇を置いてしまうと窓から日差しが当たらなくなったり、風通しが悪くなってしまうといった弊害があるんですね。
さらに、仏壇へも直射日光が直接当たってしまうため、仏壇の劣化を早めてしまうという事もあります。
なので、そうした理由から日本では「仏壇を北向きに置く事は良くない」という風に言われるようになりました。
ですが、現在の住宅は昔とは違うため、部屋の換気や日差しもについても問題がなければ、北向きでも何ら問題はありません。
なので、今まで北向きに置いていた!という方や、北向きしか置き場所がない、という方でも気にされなくて大丈夫なんです。
ただ、仏壇は湿気に弱いため部屋の換気ができる部屋で、直射日光の当たらない部屋が好ましいです。
またエアコンの冷房や暖房が直接当たってしまうと、それも仏壇の劣化を早めてしまう原因となります。
向きに関してはそこまで考えすぎる必要はありませんが、できるだけそのような場所は避けて仏壇を配置するようにしてみて下さいね。
仏壇の置き場所や配置の説は宗派によって違う
それでは次に仏壇の置き場所や配置について種類をご紹介させて頂きますね。
実は、宗派によって勧めている仏壇の向きや方角が違っているんです。
そこで、代表的な宗派についてご紹介させて頂きますので参考にしてみて下さい。
浄土真宗・浄土宗・天台宗は東向き
浄土真宗、浄土宗、天台宗の宗派では仏壇は東向きにして、西に向かって拝む説の場合が多いです。
なぜかというと、この浄土真宗、浄土宗、天台宗の3つの宗派はご本尊として阿弥陀如来を祀っています。
そして、この阿弥陀如来は「西方浄土」(阿弥陀如来を教主とする西方の極楽浄土)にいるとされているんですね。
なので、阿弥陀如来のいる西方浄土(極楽浄土)の方向である西に向かって拝めるように、東向きに置くのがよいとされています。
また、天台宗や浄土宗では日の出を意識して東向きに置くという考え方もあり、東向きの説が多いです。
この西方浄土の方角へ向かって拝む説を「西方浄土説(東面西座説)」と呼びます。
曹洞宗・臨済宗は南向き
次に、曹洞宗、臨済宗は仏壇を南向きに置き、北へ向かって拝む説の場合が多いです。
なぜかというと、古来の中国では高貴な人が南を向いて、目下の人と接するという習慣があったんですね。
なので、そういった事から仏様が南を向くようにして、自分たちは北に向いえに拝むことが良いとされるようになりました。
またさらに、お釈迦様が説法をする時に向いていた方角も、南向きだったという風に言われています。
そうした事から曹洞宗、臨済宗では北向きは避けて、北を背にして仏壇を南向きにし、北を向いて拝むようになりました。
また、南向きにすると仏壇に直射日光が当たる事もなく、風通しも良くなることから家の中で最適な設置場所という風にも考えられています。
このような南向きに置く説を「南面北座説」と呼びます。
真言宗では総本山のある方向へ
真言宗では宗派の総本山がある方向に仏壇を置くという説の場合が多いです。
これは、拝む方向の延長線上に信仰する宗派の総本山があるように仏壇を配置し、本山のある方向を拝むことを推奨する説になります。
なので、仏壇の向きなどに決まりはないため、本山や住む場所によって、東向きになったり、西向きになったり、南向きになったりと変わります。
真言宗はこの説の場合が多く、そして真言宗の総本山は和歌山県にある高野山金剛峯寺になるため、この方角へ向いて拝めるように仏壇を置く事が多いですね。
そしてこの置き方を「本山中心説」という風に呼びます。
本来は仏壇を置く場所に決まりはない
いくつか仏壇の置き場所についてなどご紹介させて頂きました。
ただ、結局はこのように「説」があるだけで仏壇を置く場所や向きに決まりなどはないんです。
なぜかというとそもそも、仏教では十方浄土という考え方があります。
十方=東・西・南・北とその間と上下を加えた方位で全世界を表し、浄土は仏様のいる世界を表していますね。
これはつまり、どの方角でもあらゆる場所に仏様がいるから、どこを向いて拝んでも仏様と向き合う事になるという事なんですね。
なので、宗派によって説などはありますが、拝む気持ちさえあれば置き場所や方角などは気にせず、拝みやすい方角に拝むことが一番よいという事なんです。
ですので、仏壇を置く位置や配置なども、直射日光やエアコンががんがんと当たらない部屋で、風通しの良い部屋であればどこでも大丈夫です。
家族や自分が拝みやすい部屋や、みんなが集まりやすい部屋などにしましょう。
仏壇を配置するのに気を付けるポイントは?
それでは仏壇を配置する部屋や置き場所で、気を付ける点について最後にご紹介をさせて頂きます。
これから仏壇を配置するという方や、すでに置いているという方もぜひ参考にしてみて下さいね。
まず、日当たりのよい部屋に置く事はとても良いですが、仏壇に直射日光が当たらないように気を付けましょう。
なぜかというと、直射日光に当てられてしまうと仏壇が早く劣化し、傷んでしまいます。
仏様の仏壇を長くきれいに保つためにも、直射日光は当たらないように気をつけましょう。
仏壇は、そもそも「木」で作られた工芸品なので湿気にはとても弱いです。
湿気の多い部屋に置いておくと仏壇の木にカビが生えたり、こちらも劣化を早めてしまいます。
なので、できるだけ風通しのよい湿気が少ない部屋に置くようにしましょう。
電子レンジや冷蔵庫など、熱を持つ電化製品の上などにも置かないようにしましょう。
電化製品は熱を持つため、これも熱によわい仏壇の木を傷めてしまいます。
オーディオ機器などの家電も、使っていると熱・振動が仏壇に伝わり良くありません。
このような電化製品の上にはおかないように気を付けましょう。
仏壇を設置した時のご本尊の高さについても気を付けましょう。
仏壇を拝む時に、ご本尊を見下ろして拝む事は良くありません。
なので、座ってお参りする場合には、ご本尊が目線よりやや上にくるように設置をします。
もし、立ってお参りする場合にはご本尊が胸の高さよりも上になるように設置をしましょう。
神棚がある場合は向かい合わせに置かない
同じ家の中で、仏壇だけでなく神棚と両方を置くというご家庭もあるかと思います。
その場合は、家の中で仏壇と神棚を向かい合わせに置かないように注意をしましょう。
まず、日本では古来から「神仏習合」として両方の宗教を尊重してきています。
なので、同じ家の中に仏壇と神棚と両方置いてある事については何ら問題ありません。
ですが、家の中で仏壇と神棚を向かい合わせにして置いてしまうと、どちらかにお参りをする時、どちらか一方にお尻を向ける事になってしまいます。
なので、仏壇と神棚の両方を家の中に置く場合は、できれば平行に配置するのが一番良いです。
ですが、部屋の構造などでどうしても難しい場合もあるかと思います。
その場合は、向かい合わせになってしまっても仕方ありませんが、真正面にはならないようにしましょう。
少しでもずらしておけば、お尻を向けてしまう事は避けられるので、大丈夫です。
また、神棚は家の中の上の方に置く事が多いですが、仏壇の真上に神棚を置かないように気を付けましょう。
神様も仏様もどちらが上ということはないので、少しだけでもずらし、仏壇の上にならないように配置をすればOKですよ。
まとめ
仏壇を北向きに置くのは良くないのかどうか、ご紹介させて頂きました。
かつては住宅事情などから「暮らしの知恵」として北向きはよくないとされていました。
ですが、直射日光が当たらず、部屋の換気もしっかりとできるのであれば北向きでもなんら問題はありません。
正しい仏壇の方角なども仏教では特にありませんので、風通しがよく、湿気のない部屋に配置しましょう。
もし、置き場所について気になるのであればお寺の住職さんに宗派など聞いてみるのもいいですね。^^